タケル・イダイヤの冒険

数年毎に繰り返される「寿司ぺろ事件」

2023年初頭、社会を賑わせた「寿司ぺろ事件」。子供たちが、寿司チェーン店で醤油ボトルや湯呑みに唾液を付着させる様子をSNSに投稿した動画が 拡散され、大炎上したというものである。彼らの不快な行動に対して多くの人々が ネット上で様々な意見を表明する中、私はある種の言動に着目した。それは、本件において被害を受けた企業は相手が子供だからといって 穏便に済ませず多額の賠償金を請求することで、世間への見せしめにするべきだ、という類の意見である。

この「見せしめ」という行為自体は社会に秩序をもたらす一つの手段として有効的であることは間違いない。 実際、芸能人の薬物使用や大企業の汚職事案等に対する実刑にも見せしめ的目的があることは度々言われている。

さて、本件への制裁を見せしめとして行うというのなら、そのターゲットは誰だろう。そう、「子供」である。 なぜなら、本件のような稚拙な犯行は、善悪の区別が曖昧で、なおかつ精神性が低度でくだらないことに快楽を見出しがちな子供が行うことが 通常であると考えられるからである。そして、ここで認識しておかなければならないことは、子供が子供でいる時間は大人の時間に比べて極めて短い、 という極めて単純なことである。つまり、子供をターゲットとする見せしめの効果の持続時間はその当時の 子供達が子供でいられる数年という極めて限定的なものであるということである。

上記の議論と無関係ではないと思われるのは、店や公共物に対する迷惑行為、バイトテロ、そして それらを内輪で済ませずsnsに投稿した結果、大炎上し、迷惑行為先の企業団体に多額の損害をもたらすという一連 の流れが数年ごとに繰り返され大きな話題になっているという感覚 を私が抱いているということである。実際に、私と同じような感覚を抱いている人は少なくないのではないだろうか。

例えば、これらのような事案として真っ先に思い出すのはコンビニアイスケース侵入バイトテロである。 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1307/15/news009.html これは2013年ごろの事案であり、 snsが盛んになり始めた時代と重なる。また、約10年前の出来事であるから、このような事案はこの間にも恐らく 1、2度あったのだろうと思われる。しかし、やはりこの数年という期間が子供が入れ替わるタイミングであり、見せしめの限界なのかもしれない。

「寿司ぺろ事件」的な事案はこれからも繰り返される可能性が極めて高い。 子供による公共空間での迷惑行為、それのsnsへの投稿拡散、そして大炎上、という繰り返される事案を 何度か目にした私は、この度の寿司ぺろ事件を数年に一度の風物詩のような感覚で、 又はある種の諦念を持って受け入れ眺めている。 騒がず受け入れ変わらずスシローを利用し続ける、これが私の態度である。