タケル・イダイヤの冒険

とにかく感想

スクラップ・アンド・ビルドの感想(反省)

主人公にとり祖父とは、義務感と哀れみを持って手を差し伸べ助けることで自己肯定感を得るための対象であり、自身と比較することにより肉体的若さと健康度合から来る優越感に浸るための対象であった。 これは主人公→祖父存在論の負の側面であって、当然作中で何度も主人公が言及していた正の側面というのもある。 このように正負両面を自覚することは、イコール自身を客観視することであり、そうすることでいわゆる正義の暴走を防ぐことができるから、 とても大切なことなのである。

実際、カーテンを開けて日光を当てることによって皮膚がんを促進させる、矢継ぎ早に質問して記憶力の劣化を自覚させて落ち込ませようとする などの発想はかなり暴走気味であり、面白くもあるのだが、これで本人は大真面目なのだから実際にこんな人がいたらと考えると恐ろしくなる。

その一方で、強く主人公に共感できたのが、彼が凄まじい筋トレと生野菜等の摂取という肉体的健康行動及び肉体的健康行動をしているという自覚から来る 精神的健康感によって「異様なアッパー感に心身が包まれた状態」になっているシーンである。 このアッパー感には、精神的健康感の方が強く寄与していると私は考えているので、この主人公(というか、羽田さん?)は私と同じようにポジティブな 人物なんだろうなと考えたりした。

参考(文庫版)
p60 驚異のぽっちゃり感
p63 アッパー感
p78 日光による皮膚がん推進
p138 矢継ぎ早質問
p148 肉体的若さと健康度合から来る優越感の自覚